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あなたのマイホームを明日までに3Dプリンターで印刷いたします

あなたのマイホームを明日までに3Dプリンターで印刷いたします

テクノロジー・ビジネス

私が3Dプリンターを初めて目にしたのは、2001年のCESでした。

物体をレイヤー毎に印刷していくという原理は現在と同じであるものの、当時はまだ造形物が砂に埋もれた状態で印刷され、最後に砂を振り落とすという工程が当たり前でありましたが、レンチや自動車の部品などが目の前で印刷されることに感動をしたことを今でもはっきりと覚えています。

そこから10年以上たった昨年の2012年頃から、欧米のクラウドファンディングなどでも続々と新しいコンシューマー向け3Dプリンターが登場してきました。現在では家庭で利用できるサイズにまで小さくなり、価格帯も一般消費者の手が届くところまで降りてきました。 そして本日、3Dプリンターに関するとある記事に驚愕しました。今までとは全くスケールが違います。

なんと、巨大な住宅を3Dプリンターで印刷してしまうというものです。

フィギュアや部品など小さなものを印刷する3Dプリンターは数多く見てきましたし、大きいものでは自動車用のテスト部品を印刷するものなどがありました。 しかし、この場合はさらに成果物のサイズの桁が違いました。人が住む住宅自体を3Dプリンターで「印刷」しようと言うのです。

この技術を開発した南カリフォルニア大学(USC)のBehrokh Khoshnevis教授によりますと、この技術は非現実的な夢でもなんでもなく、既に実用可能なレベルに達しているものであるということです。 教授によるプレゼン動画から簡単にその特徴をここにまとめてみました:

  • コンピューター上(CAD)でデザインした住宅をそのまま印刷できる。
  • 人の手を介さずに全て自動化されたプロセスで印刷できる。
  • 一般的な住宅よりも安価で丈夫で安全である。
  • 電気配線や配水管の設置なども全て自動化できる。
  • コンポジットファイバーを配合したコンクリートにより、1万PSIの強度を実現できる。
  • 通常のコンクリート構造は3千PSIなので、実に3倍以上の強度を誇る。
  • にもかかわらず壁は中空構造で、資源の節約も出来る。
  • コストをそのままに、柔軟なデザインや曲線を強度を損なわずに具現化できる。
  • 人口過多で住宅建設が間に合わない後進国において、効率良く住宅が建設できる。
  • 必要な資源と排出するCO2を大幅に削減できる。
  • 結果として、材料費を25~30%、人件費を45~55%、資金調達コストを20~25%削減できる。

次にいくつかのポイントについてスクリーンショット共に見てみましょう。

壁は縁を印刷しつつ、その内側に曲線状に中空状態で埋めていくことにより、強度の向上と資源の節減を同時に実現しています。保温性はどうなのでしょうかね?:

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通常の3Dプリンターと同様、住宅をレイヤー状に下から印刷していきます:

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壁の支柱もモジュラー式となっており、印刷のプロセスでレイヤー毎に組み込むことが可能であるとのこと:

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配水管も同様にモジュラー方式により、無人で設置・接続されていきます:

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プリンターは巨大なクレーン状で、サイズは巨大であるものの、その構造はまさに既存の3Dプリンターそのものです:

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巨大な建物の場合は、複数ノズルを搭載したプリンターで印刷できます(インクジェットプリンターの売り文句みたいですね・・・):

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タワー型の建物の場合、既存のクレーンのように昇降式のプリンターを使用できます(待ちのビル建築現場で見かけるあのクレーンがプリンターに入れ替わるわけです):

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美しいアドビ建築の建造物:

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その中は実にオーガニックで美しい作りです:

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しかし実際はその工法は古典的で効率が悪いにもかかわらず、現在では同手法を継ぐ人材も減っています。

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さらにはそれらアドビ建築物は決して強いものとは言えないのですが、この3Dプリンター方式であればそれら人材も必要なく同様のオーガニックなデザインを簡単に実現できます。

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しかも、そのような美しいデザインを実現しつつ、強度が遥かに高いため、建物の内部に梁も一切必要なくなります:

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真っ先に思いつくのは、人間に危険な環境での建築ですが、現在はNASAがこの技術をサポートしており、シャトルのランディングポートや放射能防護壁の建造に採用を検討しているとのこと:

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実際に月面での建造を想定して印刷した建造物がこれです:

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他の建築工法と比較しますと、他の工法とは比較にならない仮設住宅並みの低コストで、従来のどの手法よりも柔軟なデザイン性を実現できます:

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にも関わらずCO2とエネルギー資源を大幅に削減可能です:

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最後に、最も気になるのは施工期間ですが、なんとプレハブの組み立てよりも速く、どの工法よりも柔軟性の高い複雑なデザインを「印刷」出来てしまうとのことです:

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その印刷スピードは、なんと2,500平方フィート(232平米)の住宅で実に20時間以内とのこと。日本の住宅事情で現実的なサイズにおきかえれば、印刷には半日かからないかも知れませんね。

資源さえそろえば、「あなたのマイホームを明日までに印刷いたします。」そんなキャッチコピーが何年かすれば現実のものとなる可能性があるということです。

「家を建てる」よりも「家を印刷する」という表現がメジャーになる日が来るのかも知れません。

最後にBehrokh Khoshnevis教授のTEDでのプレゼンテーション動画をどうぞ:

http://www.youtube.com/watch?v=JdbJP8Gxqog

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The Printer That Can Print A 2,500 Square Foot House In 20 Hours.

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Written by 朝山 貴生

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