SIMフリー携帯電話端末に伴う問題と利点とは

昨夜にこんな報道がありました。

NTTドコモの山田隆持社長は5日、携帯電話端末を通話契約した電話会社経由でしか使えなくしている「SIMロック」が来年4月に解除されるのに合わせ、電話番号情報を記憶する「SIMカード」を単体で販売する方針を明らかにした。

国内の大手通信会社がSIMカードを単体で販売するのは初めて。

SIMロックの解除で、利用者は端末と通信会社の自由な選択が可能になり、ドコモは来年4月以降発売の全端末のロックを解除する方針だ。ただ、ソフトバンクモバイルは、国内で販売する人気機種「iPhone(アイフォーン)」を解除対象としない意向を示している。

引用元: ドコモ、「SIMカード」単体で販売へ : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

SIM販売はすでに日本通信によって先日開始されていましたが、ついにDoCoMoまでもがSIMの単体販売を開始するようです。

ガジェット好き一般人からすれば、このDoCoMoの一連の動きは、iPhoneを販売できないことからの戦略転換に見えなくもないのですが、このDoCoMoのSIMフリー化戦略には大きな問題がつきまといます。特に私たち末端の一般ユーザーにとっては、です。

SIMフリーに伴う問題

特定のサービスが使えない可能性

NTT DoCoMoが開始したSPモードですが、どうやらNexus Oneでは初日だけ使えたようで、その後は使えなくなりました・・・。それだけではなく、日本のキャリアが自ら販売した端末以外では特定の機能やサービスを使えなくする可能性は大いにあります。

このNTT DoCoMoのサービス利用制限はおかしな話で、自らが国内のSIMフリー化を牽引すると言いながら、サービスを端末で制限しているという矛盾を引き起こしている点から、このSIMフリー化戦略が裏で抱えている事情や問題を読み取れます。

私自身は、もう何年か前にiModeとiModeメールの利用をやめてしまっているので、一番大きな問題はもう問題でなくなってはいます。

今でもAndroid端末でどうにかアプリを通してiModeメールをやりとりしたり、iPhone端末でアプリ上でいくつかのiModeサイトを閲覧したりすることは可能ですが、不便きわまりないのです。

私にとっての一番良い解決法はそれらガラパゴスの島から飛び立つことでした。すでにそれから数年たちましたが、特に不便を感じてはいません。

これからもいわゆるガラケーに特化したメールやサイトの利用をやめる人は増えると思われます。

国産か輸入物のどっちにする?

NTT DoCoMoが2011年春からSIMフリー化するということは、必然的にSIMフリーの端末を販売開始するということですが、日本で販売されるSIMフリー端末は、NTTだけがそれに対応して一般ユーザーには何の得があるのでしょうか?

NTTだけが解放しても、NTT端末がSoftbank回線で使えても何もうれしいことはありません。

やはり、SIMフリーで便利なのは、海外で販売されているスマートフォンを日本の回線で使用する場合でしょう。

入手が困難な海外のSIMフリー端末

一番大きな問題は、日本では「皆がほしい」SIMフリー端末を手に入れることが難しいということです。秋葉原や日本橋でんでんタウンでは在庫を持つショップもありますが、海外で購入するよりも価格が2万以上高く、10万ぐらいすることも珍しくありません。

DoCoMoに先駆けてSIMの単体販売を開始していた日本通信は、その問題を解決(?)すべく、世界的にSIMフリー端末をインターネットにて販売しているExpansysと提携しました。

この提携がどのようにSIMフリー端末の入手を容易にするかはまだわかりませんが、いずれにせよ一般消費者には不安が残る入手方法ではあります。

できるだけ安く手に入れたい場合は、香港やイタリアへ渡航して購入するという方法がありますが、渡航の予定が内限りは旅費がかかってしまい本末転倒です。

今のところ国内にて一番安価に手に入れる方法は、たとえばiPhoneの場合、インターネットで検索すればすぐに出てくる香港などの購入代行サービスを利用することです。ただし、ちゃんと届くのかなど、消費者としての不安は残ります。

これからも、海外購入や並行輸入展での購入でトラブルが続発することでしょう。

入手しても残る保証の問題

携帯電話はいわゆる精密な電子機器です。初期不良や、簡単に故障してしまうことも少なくはありません。

その際に重要なのは保証規定なのですが、端末によっては国際的に保証を受けられるものもありますが、多くの場合はそうとは限りません。

実際に私がApple Storeにて海外で購入したSIMフリーiPhoneとiPadが修理できるかを訪ねた際には、修理はできないと言われました。これについてもtwitterやインターネット上でできる、できないと様々な情報が飛び交っておりましたが、いずれにせよユーザーにはややこしい話には違いありません。

そもそも本当にSIMフリーなのか?という問題

たとえば、iPhoneを買う際に、どの国がSIMフリーでどの国がそうでないかという情報を知ることは困難です。

どうやら法律で定められている香港とイタリアに関しては、SIMフリーであることは確かなのでしょうが、噂でも香港版ではテザリングができなかった、などネガティブな情報も時々入ってきます。

私自身も情報に惑わされた経験があります。

2009年にギリシャのアテネ空港の携帯電話ショップの店員に、ギリシャのiPhoneは完全にSIMフリーだと聞かされました。その店員曰く、アメリカ人が来るたびに買い占めて持って帰るとのことでした。私がそこを訪れたときにはiPhone 3GSは売り切れており、それを入手するためだけに時間をとってアテネ中心部までタクシーを走らせて携帯電話ショップに駆け込んだところ、SIMフリーではない、といわれました。

泣く泣く空港に戻ってから調べたところ、結果ギリシャのiPhoneはイタリアの流通に依存しているため、すべてSIMフリーだったのです。

結局ミラノのTIMショップにて購入したのですが、ギリシャでの一騒動は全くの無駄になりました。

あと、海外で購入予定の皆様、特に欧州で購入予定の皆様。一つ大きなことを忘れないようにしてください。それは、携帯電話端末も免税対象であるということです。VATは日本の消費税に比べ何倍もかかっているので、この免税額は馬鹿になりません。

どうやら、iPhone 4に関してはイギリスでも完全なSIMフリーとのことですが、国によっても値段が違いますので十分に調べてから購入しましょう。

私の場合はこういった店員の情報に惑わされましたが、インターネット上の情報にも間違ったものが多いので要注意です。

SIMフリーにもいろいろある

iPhone 3GSに関しては、インターネット上でフランスはSIMフリーだという嘘の情報も流れていました。

私自身もパリのOrangeショップでSIMフリーかと尋ねた際に、「はい」と答える店員と「いいえ」と答える店員の両方がいました。

しかし、その両方の答えは正しかったのです。

詳しい店員に効いたところ、フランスでは、「フランス国内のキャリアに限定してSIMフリー」だったのです。ここで、正しくは「国際的にSIMフリーか?」と訪ねる必要があったということです。

また、どうやらiPhone 3GSに関しては、購入してアクティベーションしてから一定期間のみSIMロックがかかる、といったトリッキーな場合もあったようですので要注意です。

ですので、本当に完全なSIMフリーかどうかは、ちゃんと確実にそうかどうかを確かめてから購入する事をおすすめします。それでも不安な場合は、SIMフリーかどうかを確認するために最も確実な方法があります。それは、実際に購入して試用されているユーザーさんをインターネットで探し、彼らにその旨を確かめることです。

同じシリーズでも機種や時期によっても違う

先述の通り、iPhoneについては、iPhone 3GSではロックがかかっていたイギリスで、真っ先にSIMフリーのiPhone 4が発売されました。ですので、同じiPhoneでも機種が違えばSIMフリーか否かの判断はまたやり直さなければならないと言う事です。

安全な海外SIMフリー端末を購入するには

すでに動作確認をしているショップで購入する場合は良いかもしれませんが、どうしてもインターネットでできるだけ安く手に入れたい、という方は以下のことを確認しましょう。

  • 購入するSIMフリー端末の確実な機種名をもって販売している国を調査する。
  • 販売されていた次期を確認し、確実にSIMフリー端末が確認されていた時期と一致するかを確認する。
  • 同機種の端末を日本で正規販売している店舗に、海外で購入したものに保証が適用されるかを確認する。
  • インターネット上で同機種を試用している人に販売国や購入時期、SIMフリーの範囲や機能の制限を確認する。

ここまで確かめれば、購入後に日本のSIMで使えなかったり、購入してから希望する機能が使えなかったりすると言ったトラブルは最小限に抑えられるはずです。

SIMフリー端末の利点

私自身、iPhone 3GSとGoogle Nexus Oneという2台のSIMフリー端末を所有しています。iPhoneはキャリアにSIMがロックされたiPhone 4に買い換えたため、実質SIMフリーの利点をすべて活用できているのはNexus Oneの1台となっていますが。

そもそも、SIMフリーは何が得なんだ?と疑問に思われる方のために、実際の利用者として感じた利点をまとめたいと思います。

海外出張には重宝

海外へ行く際、最近のほとんどの日本の携帯電話をそのまま利用する事ができますが、通話もデータ通信もローミングを通すと馬鹿にならないほどの料金がかかります。

実際私も欧州でローミングを軽い気持ちで試用していたところ、料金が●●万円もかかってしまって痛い思いをしたことがあります。

最近では海外パケット代固定という、ソフトバンクが先陣を切って提供してくれている革新的なサービスがあり、DoCoMoもそれに次いで同様のサービスを提供開始しておりますが、それでもまだまだ安くはありません。

レンタルという手もありますが、電話帳もそのまま使えませんし、レンタルできる携帯電話は何世代も前のものが多いので、便利とは言い難いものです。

SIMフリー端末を持っている場合はもっと安くすみます。現地の携帯電話ショップで、SIMを購入して、SIMフリー端末に挿入すればよいのです。それでそのまま普段の設定から電話帳まですべてそのまま使えます。国によって違いますが、ほとんどの場合SIMはホテルの住所とパスポートがあれば購入できます。

もちろん、日本の携帯電話番号がそのまま使えないという欠点はありますが。

テザリング機能が便利

テザリング機能とは、これらSIMフリーの携帯電話端末を、USBケーブルやBluetoothのワイヤレス接続経由でインターネット接続用のモデムとして使える機能です。

私の場合、iPhone 3GS時代にはそれを、そして今はNexus Oneをこのテザリング端末として使用しています。

テザリング機能は非常に便利で、Pocket WiFiなどの接続専用端末をいちいち持ち歩かなくて良いのも魅力です。

日本ではNTT DoCoMoのSIMでテザリングを使いますが、通信速度も2mbps以上出たりと非常に安定した環境で利用できます。

これらテザリングは、iOSやAndroidにもともと備わっている機能ですが、通常SIMロックがかかっている国で販売されている端末に関しては、これら機能が見えない形になっています。

実際、日本で販売されているiPhoneやHTC Desireなどでは使用できません。

iPhone 3GSやiPhone 4ではBluetoothとUSB経由でPCから接続し、モデムとして使用できますが、Nexus OneのようにAndroid 2.2 Froyoを搭載した端末では、WiFiスポット機能をONにすることによって、WiFi経由でも利用できるので便利です。

ただし、テザリングも手放しに利用できるものではありません。NTT DoCoMoもそうですが、キャリアによっては一日あたり一定のパケット量を超えるとそれ以降の通信速度が制限されてしまったりしますし、テザリングにて追加の通信費がかかるかどうかは料金の明細を見るまで確信が持てないなど不安な点もあります。

また、上限があっても実際にある程度の料金がかかるのも事実です。たとえば、テザリングをNTT DoCoMoで使用する場合、パケ放題ダブルやMoperaの契約を入れると月に1万円以上かかってしまいます。

先述の安全なSIMフリー端末と同様、テザリングに関しても、実際に使用されているユーザーさんに聞いて確かめることが一番安全です。

キャリアの使い分けができる

たとえば、DoCoMoの電波が入るけれどもソフトバンクの電波が入らない。もしくはその逆であったりする場合があります。そんなときに、SIMフリー端末ならSIMを差し替えるだけで好きなキャリアで同じ端末を利用できるのです。

ただし、日本ではAUだけ通信方式が違うため、iPhoneで使えないといったような、キャリアによる制限もありますので要注意です。

また、SIMの度重なる抜き差しは、スロットの構造上故障の原因になりやすいのであまりおすすめできません。

あなたはSIMフリー端末を買う?買わない?

以上、ざっと私自身のSIMフリーについての考えを書かせていただきましたが、あなた自身はいかがでしょうか?

実際にSIMフリー端末がほしいですか?それとも全く興味がありませんか?

ご意見やご感想、質問等ありましたら、ご遠慮なくこのページのコメントでお書きください。

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