Google Glass狂想曲 – 日本人よ悪徳並行輸入に騙されるな!本当はこんな感じです
何故か昨日からGoogle Glass関連の話題が熱いと思えば、どうやら並行輸入業者の予約受付を受けて色んなメディアがそれを取り上げてしまったようです。
しかも、その業者がなんとも怪しく、そこの表記をまとめると「先に69,800円払えや。でも商品入らなくてこっちに支払い能力なかったら代金返さないからね。」というどう見ても法規上問題のある免責事項が。
ガジェット好きで、裕福で、更に英語に弱い。そんな日本人を狙った悪徳並行輸入業者だと判断いたしました。
さらにはそこにGoogle Glassに全く縁のない方達が意見を投げ合って、どうも収集がつかない状況になりました。
私もそれを受けて、要注意のツイートなどを配信しておりましたが、本日午後に大元 隆志さんが書いた記事がYahoo!ヘッドラインにシンジケートされ、そこに私の名前も取り上げられていました。
本業で取り上げられたい!という話は別にしておいて、そこで書かれたことには一部誤解もあることから、Google Glassについて一人の公式Google Glass Explorerとしてまとめてみます。
まず誰が買えるの?
表記上は以下の条件が必須です。
- 米国在住者
- 米国住所で受け取る、もしくは米国Google本社に取りに行ける者
ですが、外国人には裏にもっとハードルが高い条件があります。
まず第一に、購入ページに日本のIPアドレスからはアクセスできません。これはUS経由のプロキシでクリア可能ですが、次のハードルは何百倍も高くなります。
それは、購入に米国発行のクレジットカードが必要だと言う事です。
米国で発行されたカード+米国のカード決済システムでは、アドレスの最初の何文字かと、ZIPコード(日本で言う郵便番号)を照合するAddress Verificationという仕組みがあります。米国住所は代理業でまかなえますが、米国住所に発行されたクレジットカードのハードルが外国人には高くなります。
つぎに、もしそれを仮に取得したとしても、この金額でGoogle Play(Google Wallet)購入を行うと、電話認証が高い確率で入ります。
私の場合はインドのGoogleから電話があり、あっちがまともな英語を話さないので困りましたw
いずれにせよ、これら条件を日本人が全てクリアすることはハードルが高いと言えるでしょう。
また最近では、Google Play Musicの月額サービスAll Accessに登録したユーザーにも購入権が解放されました。しかし、これもまた日本のIPアドレスからはサービス自体に申し込むことさえ不可能です。
日本で使えるのか?
現状で言っても基本はイエスです。ただし、いろいろと手間がかかります。
まず、マニュアルは日本語はありませんし、Android端末、しかもNexus 4での接続がアクティベーション前に上手くいかず、その辺に詳しい方である私でもアクティベーションに戸惑いましたw
アクティベーションは基本日本からも行えます。私が簡潔に言いすぎたツイートにはそこに間違いがあります。ただしくいうと、購入ページにもプロキシが必要で、購入でカードの障壁もありますので、日本でアクティベーションに行き着くまでのハードルが高い、ということになります。
次にほぼ必須となるMyGlassアプリ。Google Playでは日本アカウントからはダウンロードさえできません。iOS用でも、日本のiTunesアカウントではダウンロード出来ません。前者はすこし技術的な裏技で回避可能ですが、後者は回避が面倒です。
また、Google Play Musicの月額サービスに申し込まなければ、流れている曲をGoogle Glassに認識させて後で聞く、といったような芸当ができません。そういった障壁が、日本人ユーザーには多々あります。
しかも、そのほとんどの便利な機能が同制限によって閉ざされてしまうので、一般的な日本人がかなりウェアラブルデバイスとしての楽しみが減ってしまうでしょう。
日本語で使えるのか?
答えは99%ノーです。
まず、ボイスコマンドは全て英語のみ。日本人に試させてもまずOk Googleの発音から認識してくれないことも多々あります。
メール表示などは文字化けせず全て日本語で表示されます。これはAndroidベースだからでしょうが、それ以外のインターフェイスなどは全て英語です。
日本語アプリはあるのか?
答えはノーです。
全て現在アプリは英語のみです。
World Lensという見ている映像内の文字を翻訳してくれる怖いアプリ?がありますが、それも本家World Lensが日本語に対応していないため、残念ながら日本語への翻訳は不可能です。
並行輸入は良いのか?
Googleがもし、購入者と紐付けていればハードウェア無償アップグレードなどが受け付けてもらえずかなり損ですね。非正規ルートで買っていないので実際の所は分かりませんが・・・。
また、中古購入ではこのデバイスは余りよろしくないかも知れません。交換不可なバッテリーの問題もありますし、それはスマートフォンと同じですね。一応は規約上譲渡は不可、となっておりますし。
もし本当に欲しい場合は、日本の発売を待つか、正規に米国ルートで自分で買うことをお勧めします。
では、4月の600ドル発売、日本での69,800円並行販売はあり得るのか?
私の個人的意見では4月の正式販売については99%ノーです。
更に日本での発売に関しては100%ノーです。
では、その根拠を示しましょう。
公式コミュニティで話題にもなってない
まず実は、公式のGoogle Glass Explorerにしかアクセス権が与えられないコミュニティサイト「Explorers Community」(https://www.glass-community.com/)というものが存在します。
一般ユーザーがこれにアクセスしても、自動的にGoogle Glassページへと転送されてしまいます。
ですがせっかくの機会ですのでコミュニティをお目にかけましょう:
ここでは、掲示板形式で他のExplorer達と意見交換が出来るほか、Google社の担当社員からの情報もいち早く配信されます。
当然のことながらコミュニティの投稿は検索が可能ですが、現在価格600ドルどころか、正式販売の議論さえ存在しません。目下のExplorer達の興味はXE12アップデートの堪能ですw
まだ販売に至らないであろう製品
次に、Google Glassは昨年末のXE12アップデートで大幅に機能が改善され、ようやくまともに楽しめるガジェットになりました。ウインク認識やGoogle Hangoutsへの対応、Youtubeへの動画アップロードがそれで追加されたのです。
さらに、XE13のアップデート内容はファームにはすでに実装されているとのことで、次のアップデートは2月のXE14であると確定しています。
しかしどう見ても、Google Glassは商品として一般に販売できるレベルに達していませんww
ましてや春までに日本語にローカライゼーションされるとは想像もできません。
さらには、使いまくると電池も一日持たないことから、まだまだGoogle Glassは実験段階の商品であると言えます。
もしこの段階で正規販売したら返品の嵐だと思われますw
Google社のExplorerへの敬意
次に、私があり得ない理由として挙げるのは、Google社のExplorerへの敬意です。
この実験的デバイスに、1,500ドル、日本円にして15万円以上もの大金を払うExplorerに対して、Google社は最大の敬意を表して接しています。
ハードウェアがアップデートされた場合には無償交換にも応じています。
そのGoogle社が、突如このデバイスを完成させて、4月にオープンに6万円程度で販売するとは考えがたいのです。
もしそうなればExplorerコミュニティは大いに荒れるでしょうw
以上が、公式Explorerの一員としての意見です。では、実際はどうなの?という点について書きましょう。
使ってみてどうなの?
まず、慣れるには時間がかかります。と言っても私も2,3日であたかも標準のようになれましたが。
まだ使ってもいない者に限って、盗撮の問題やら、運転の危険やらをぶつぶつ言っているようですが、それはまるでよく包丁と殺人にたとえられる話と同じで、道具と使う人間次第の話でしょう。
実際、どう見てもカメラが付いている眼鏡で隠れて盗撮は不可能ですからw
日本の街でもつけて歩いていてもあまり気づかれません。また事なかれ主義の国ですので、気づかれてもあまり触れられませんw逆に避けられますwもしこれがベイエリアなら、話しかけられるか、悪口を言われるかなのですが。
また、目線を少し上に上げる必要がありますから、運転時に常時スクリーンを見ることは不可能です。まともに運転できません。
また、それら使わずして文句を言う人たちにお伝えすると、普段Google Glassはスリープ状態にあります。スリープを解除するには、顔を30度以上上に上げてから下に戻すか、ウインクして写真撮影をするか、となります。
特にウインク認識はかなりの精度で、両目でぱちぱちしても写真は撮影されません。ただし、最初のカリブレーションで空中に向かって何度かウインクせねばならないという虚しい手順が必要ですw
私の場合スポーツに全く興味がないので、3割程度のアプリ(Glassware)を使う機会を失っていますが、それでいてGoogle Glassはウェアラブルデバイスの未来を感じる機会としては最高です。
レシピアプリなどでは、ウェブで見たものをGlassに転送し、目線を上げるとその場でレシピが出るので便利です(本当に便利かは秘密w)
音声認識で写真を撮る、動画を撮る、TwitterやFacebook、Google+に投稿する。それらが頭の動きと音声だけで動作可能です。というのは半分嘘で、実際は側面に用意されたタッチパッドに触れる機会もかなり多いのです。
実はGoogle Glassには「タイムライン」というものが有りまして、そこに時系列にツイートやGmailのメール、撮影した写真などが時系列に表示されています。
それらを見る、音声で話す、タッチパッドをタッチ・スワイプする、頭を動かすという4つの動作の組み合わせで各機能が動作します。そしてそれらの中にはまだストレスを感じるものが多々ありますので、まだまだ実験的デバイスであることは確かでしょう。
Googleの資本力と技術力でこの段階ですから、これら眼鏡型デバイスが一般的に使えるものとして世に出るには、まだまだ時間がかかるでしょうね。
盗撮?そんなアホな
盗撮を懸念する記事を一通り読みましたが、その100%がまともに使ってもない方によるもの。
Google Glassは名前と形こそ眼鏡ですが、実際は目の前にレンズとカメラ、あとはタッチパッドとマイク、骨伝導スピーカーがあるだけ。
盗撮者がわざわざカメラの存在見せないでしょ?
当然プライバシーの問題は出ますが、盗撮という表現はおかしいですね。あえて言うなら常撮の問題。
他の眼鏡型ウェアラブルデバイスとの違い
Google Glassの他社製競合製品との違いは、オープンなプラットフォームとデベロッパーの意気込みであると言えます。
実際に多くのデベロッパーがすでに商用サービスをも検討しています。
たとえば、私のSFベイエリアの友人であるDavid Grieshaber氏も、Google Glassを使ったヴァーチャルキャディーサービスiCaddy.comを立ち上げています。
今でこそまだまともに使えるレベルのデバイスではありませんが、このUIやUXが洗練された頃には、こういったサードパーティーのGlasswareがわんさか出ていることでしょう。
さて、とりとめもなく隙間時間で私の意見を書かせていただきましたが、もしGoogle Glassについて質問等ありましたら、twitter、Facebookページ、Google+でお答えしますのでいつでもどうぞ!
追記
1月10日、この騒動を受けて遂にそもそも存在さえしないGoogle Glassのアクティベーション作業を請け負う業者が現れましたw
1件のピンバック
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