人から借りて使っただけでは分からないGoogle Glassの10の魅力とは?

ここ最近、日本でもGoogle Glassの話題をちらほらと見かけるようになりました。それに合わせて、Google Glassに関するブログ記事も増え、ついには『Google Glass予約受け付けます詐欺』や、『存在しないアクティベーション作業を代行します詐欺』までが現れる始末です。

私も、一人のGoogle Glass Explorerとして英語と日本語ではたいていの関連記事やブログ投稿を網羅しているつもりです。ところが、日本語でのブログ記事のほぼ99%が、借り物としてGoogle Glassを使った方の第一印象の記事でした。

ところがGoogle Glassはれっきとしたパーソナルデバイス。個人的に使ってこそ、その能力を発揮することができるのです。

もっと極端に言いますと、『人が簡単に貸してくれるようなGoogle Glassはつまらない』のです。

そこで今回は、Google Glass常用者にしか分からない本当の魅力だけに焦点を当てて、購入を検討されている皆様にお伝えしたいと思います。

1.Google Account連動

まず、2013年末までGoogle Glassにはゲストモードというものが存在していました。一時的に登録されたGoogle Accountを切り離し、第三者に試してもらうことができるようにするためのモードです。

では、何故そのようなものが必要なのか?それは、Google GlassがGoogle Account連動が前提であり、個人が受けるべき個人的なデータと連動して始めて使い物になるデバイスだからです。

メールサービスから何からを自社で包括できるGoogleであるからこそ、Google Glassはその能力を発揮できます。Gmailでメールを見て、写真をGoogle+でバックアップを取る。全てがGoogle Accountを基軸に動いています。

しかしGoogleは、2013年末のXE12アップデートにてゲストモードをあっさり切り捨てました。Google曰く、このゲストモード自体に無理があり、そのメンテナンスが本来の開発効率を下げるとのことで、引き続きゲストへの利用を許可したい場合は『Google Accountを作らせて登録しなおせ』とのことです。

すなわち、Google自体がGoogle Glassを、自分のGoogle Accountと紐付けない限りは使い物にならないものである、としているわけです。X12アップデートでは更にスクリーンロックの機能も付加されました。これもGoogleが『Glassを人に貸す』という行為を切り捨てたという証拠の一つと言えるでしょう。

もし、数分の時間でにわかに人から借りたGoogle Glassであれば、わざわざGoogle Accountの接続を切り、再度別のGoogle Accountと紐付ける、そんな時間はとてもないでしょう。そしてもし、持ち主が常用されているExplorerの場合、あまりにも個人的な情報にアクセスができてしまうので、第三者への貸与は躊躇するはずです。元々私は潔癖なので入手当初に一部の人にしか「ためしがけ」をさせたことはありませんが、使えば使うほど他人へ貸す可能性は極めてゼロに近づきました。ゲストモードがなく、さらに重要な情報が集約されている今、PCを貸すよりもリスクが高いのです。

もうおわかり頂けましたように、にわかに借りることができて、その場で使えるGoogle Glassであれば有るほど、その魅力を全く楽しめないという事になります。

逆に、自分のGoogle Accountに接続し、気に入ったGlasswareを入れて設定したGoogle Glassは、非常に便利で有益なウェアラブル端末となります。その魅力は以下に続きます。

2.カリブレーション

パーソナルデバイスとしてのGoogle Glassには、カリブレーションが必要です。

ひとつ目は、『On-Head Detection』という、装着しているかどうかを検知する機能の設定です。これをONにすると、Glassを外すだけで自動的にスリープモードに入ります。このカリブレーションでは何度かGlassを付け外しします。

ふたつ目は、『Wink Configuration』という、ウインク認識の設定です。こちらも右目でウインクを何度かせねばなりません。

これらカリブレーションの他、スリープ解除のために『Head Wake Up』というスリープ解除の際に見上げる角度の設定も可能です。

こういった個人的な設定があるということは、にわかに借りた場合には検知の精度が大きく下がると言う事になります。当然のことなのですが、そう言った場合に「反応が悪い」という印象を持たれざるを得ません。

装着者個々のカリブレーションなしには、Google Glassのレスポンスと魅力は堪能できないのです。

3.タイムライン

実は、Google Glassにはタイムラインという概念があります。

TwitterやFacebookのそれとは違うのは、インストールしているアプリの個々の情報が「カード」という単位で時系列で並ぶという点です。

例えば、WinkFeedというGlasswareでCNNニュース受信をONにし、twitterでNew York Timesのツイート通知をONにした場合、それらの通知がGmailの受信メールなどとまとめられてタイムラインに時系列に表示されます。下のスクリーンショットは、WinkFeedによるEngadget記事のカードがタイムラインに表示された様子です。

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これは、自分が撮影した写真や動画も同様です。タイムラインはタッチパッドを素早く左右にスワイプすると早送りできるのですが、それらニュースやメール、写真などがずらりと並びます。苦労しましたが早送りのスクリーンショットを撮ってみました。

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Gmailで受信したPaypalの支払い受領メールと、Engadgetの記事投稿通知2つが並んで表示されていることが分かります。

自分が欲しい情報を絞り込むと、このように情報を一元管理して見ることが出来るので、設定次第ではGoogle Glassのタイムラインは非常に便利です。

4.通知機能

こちらも、パーソナライズあっての必需機能と言えます。たとえば、メールを受信したり、モニターしている情報が配信されると、Google Glassは「ピポッ」と電子音で受信を知らせます。

受信した際には、顔を上に上げるとそのカードが表示されるという仕組みです。さらには、対応しているGlasswareであれば、5秒以上顔を上げているだけでアクションをおこせます。

この「顔を上げる」というアクションですが、言葉では大変な作業に聞こえますが、実際は上を軽く見上げるだけで非常に便利です。

この通知も、Google Glassを使い込めば使い込むほど個人的な情報が増えますから、借り物では堪能できない機能の一つです。

5.Google Now

これは、通知にも関わる非常に便利な機能です。

元々はAndroid端末で提供され始めたGoogle Nowですが、Google Glassとの連動で更にその威力を発揮します。

たとえば、私の場合はウェブで購入したチケットからの購入メールを自動で判別して、そのフライト時刻が近づくとGoogle Glassが自動的にその機材が予定通りゲート到着しているかどうかを知らせてくれました。もし、自分の位置が空港から遠く離れていると、早く空港へ向かえとGoogle Glassが催促してくれます。

更に、GmailでAmazonの購入メールを受信している場合は、商品が発送されたり到着した際にGoogle Glassが自動的に知らせてくれます。

出かける前にPCでGoogle Mapから道順を調べておけば、自動でそのナビゲーションがGoogle Glassに表示されます。

また、現在自分がいる地域の天気や、ウェブから調べた天気も自動的に表示されます。

それら情報を先読みして提供してくれるので、Google NowはまさにGoogle Glassにぴったりの機能と言えます。

6. ウインク認識

2013年末のXE12アップデートで追加された最大の新機能と言えるのが、このウインク認識機能です。

カリブレーションの項目でお伝えした通り、個人のウインクをGoogle Glassが記憶して、その動作が行われた際には写真を撮影してくれるという仕組みです。

ご丁寧にも、カリブレーションではアニメーションで『右目でウインクしなさい』とウインクの仕方を指導してくれますw

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実際この機能が優秀で、両目でぱちぱちしても写真は撮影されず、右目でウインクした場合にのみそれを検知してくれます。ただし、自分でカリブレーションした場合は、というのがポイントです。

なお、正式な仕組みへの言及はGoogle自体が拒否していますが、Explorer公式コミュニティで開発スタッフの一人が、『これは様々なセンサー、とくに赤外線センサーによる賜だ』と記しています。よって、このウインク認識は闇夜でも動作するという素晴らしい機能となりました。

現在ではウインクによって制御できるのは写真撮影のみですが、今後は他の動作と組み合わせることにより更なる可能性を秘めていると言えるでしょう。

7.ブラウザ機能

案外知られていないのが、Google Glassにはブラウザが搭載されていると言う事です。Android端末の一種であるのでそれは当然のことですが、インターフェイスが特殊なために操作方法は当然のことながらGlassに特化されています。

メールなどからPC用のウェブページを開いた場合、そのページはまず縮小表示されますが、タッチパッドに指2本で触れるとターゲットサイトに切り替わりカーソルが表示されます。

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そのまま指2本で左右にスワイプすると拡大縮小が行えます。拡大後は、2本指で触れたままで顔を動かすと画面をスクロールすることが出来ます。

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リンクから先に進むには通常のタッチパッドのようにタップすればOKです。余り使い勝手が良いものとは言えませんし、まだまだ改善の余地はありますが、臨時の機能としては充分でしょう。

このブラウザも、メールを受信したり検索したりしなければお目にかかれませんので、数分借りたりしただけではなかなか気づけないものの一つだと言えます。

8.Google検索

当然ながら、Googleと言えば検索なのですが、最近ではCMでもおなじみの通り、自然文による質問の意味を理解して検索してくれるので非常に便利になりました。

ところが、残念ながら日本語はいつも後回しですので、英語に較べると多くの機能が削られています。

更に、Android端末はまだしも、Google Glassではまだ英語しか音声認識が対応しておりませんので、英語ができない限りは極単純な質問しか投げかけられない事が多いでしょう。

実際にはCMで見るような質問を、Google Glassに英語の自然文で尋ねるだけで音声と映像で答えが返ってきます。

たとえば、「How high is mount Fuji?」と聞けば富士山の高さを教えてくれます。「How do you say Good Morning in Japanese?」と聞けば「おはよう」と教えてくれます。

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Android 4.4 Kitcutでも同様の「Ok Google」機能が提供開始されていますが、そちらもまだ日本語には完全対応していません。英語設定にすれば、ホーム画面に「Ok Google」と話すだけで音声の認識を開始できます。

それに対してGoogle Glassは画面を見ずに、一旦顔を上げてスリープを解除すれば音声認識が始まりますので、そこで「Ok Glass Google」と言うだけで自然文による音声検索が始められます。

こちらも本来であれば真っ先に試せる機能の一つでしょうが、日本では試せる方が限定されてしまうでしょう。

9. Contacts & Hangouts

こちらも、人の端末ではなかなか試せない機能と言えます。

Google Glassには、Gmailのアドレス帳としても使われているGoogle Contactsの中から、自分で選別して相手を登録することが出来ます。

そして、スマートフォン経由であればSMS、そうでない場合でもGoogle Hangoutsを通してそれらのコンタクト先にメッセージを送信できます。当然ながら音声での入力が可能です。

相手がGoogle HangoutsをPCやスマートフォンで使っている場合は、電話会議やビデオ会議も可能です。

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ビデオ会議の場合は通常とは違い、Google Glassで見えている映像が相手に送られますが、鏡を見て話すという裏技がありますwその場の中継的な利用もかなり楽しんで頂けます。

実際にハンズフリー通話として使う場合は、Android端末に較べこちらの方が便利です。

他人の端末にわざわざ自分の連絡先を登録させてもらうわけには行きませんから、これもまたにわかに借りただけでは自分で試せない機能と言えます。

10. まだまだ隠された機能と可能性

Google Glassは、実は現在の3代目(表向きは2代目)のハードウェアスペック詳細を公開しておりません。

ところが、分解した有志によりますと、その中にはまだ使われていない『近接センサー』までもが内蔵されているのです!

と言うことは……。

そうです。この先、Google Glassは自分の手振りまでをも認識する機能が実装される可能性を秘めていると言う事です。

現在では、音声、顔の動き、目の動き、タッチパッドの組み合わせがコマンド入力となっていますが、今後のソフトウェアアップデートにより、目の前で手を動かせばブラウザをスクロールさせる、といったような機能が追加される可能性が高いと言う事です。

そして、それら動作にも当然カリブレーションが必須でしょうから、ますます借り物のGoogle Glassでは楽しめない高機能なパーソナルデバイスとなるでしょう。

 

以上、借りて使った人には分からないGoogle Glassの素晴らしさ10のポイントでした。もうおわかり頂けたでしょうが、Google Glassはにわかに借りただけではその魅力のほとんどを知らずに終わってしまいます。そして批判的なことを各記事でさえも、それらを知らずして書かれたものばかりなのです。これを読んで、少しでもGoogle Glassに興味を持つ人が増えてくれればと願います。

なお、繰り返ししつこく言いますが、まだ米国でも正式販売が決まっておりませんので、日本語で予約の受付や存在もしないアクティベーション作業の代行を謳う詐欺まがいのサービスにはくれぐれもお気をつけ下さい!引き続き、Google Glassに関する質問はtwitterFacebookページGoogle+でも受け付けております!

 

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