カリフォルニア州でのGoogle Glass着用運転に関する違反切符取り下げについてもっと深く知るための裏話

昨年10月に、カリフォルニア州のサンディエゴフリーウェイでハイウェイパトロールに違反切符を着られたCecilia Abadieさんは、今年1月16日の裁判でGoogle Glass着用に対する違反については取り下げという結果を勝ち取りました。

今回の件で日本の記事も読んでいますと、スピード違反とともに、『モニターやそれに準ずるものを見ながらの運転』を禁じる道路交通法VC 27602違反による切符を切られた、と言うところまで詳しく書いてくれているものまで出ておりました。

ところが、ここでふとあることに気づきました。それは、この背景にあるアメリカのお国事情を皆様に知っていただければ、更に今回の事件に関する報道を掘り下げて楽しんでいただけるかもしれないと言う事です。

私が知るのがカリフォルニア州についてのみですので申し訳ありませんが、私自身の過去のエピソードも晒して、その事情をお話ししましょう。

刑事事件の有罪率99.8%を誇る我が国日本ですが、それは言い返せば確実に有罪となろう事件以外は起訴しない、という事になります。ところが、これが欧米式で行きますと、とにかく有罪を決めるのは裁判。疑わしきはとにかく逮捕しろ社会です。

これは道路交通法においても同様で、日本に比較すれば曖昧なレベルのものでも平気でバンバン切符を切られます。更に輪をかけてたちが悪いのは、その采配が幅広く各警官にゆだねられていると言う事です。

カリフォルニア州でスピード違反とみなされて止められますと、警官はあらゆるオマケを探し始めます。いわゆる『別件』というやつです。Abadieさんの場合はプリウスで、違法マフラーやエミッション、スモッグ検査の違反の可能性は低いでしょうから、当然のこと目が行くのは右目の上に輝く奇妙なデバイスであるということです。今回はそれがこの警官の獲物として目を付けられてしまったと言うことですね。

ちなみに私の実体験で行きますと、最高6枚のチケットを、しかも2回切られたことがありますw

当時はBMWのある車種に、米国の合法な名門チューナーDINANのStage 2チューンを施していたのですが、私がアジア人であることも重なって、わずかながらのスピード違反と共にその他5枚のチケットを切られたと言う事です。

そのチケットは、覚えているだけでもエミッション、マフラーの音量、危険運転などですが、当然のことながらこれら全部はすべて全くのでっち上げです。なぜならその時点で私はちょうどスピードリミットで走っていたからです。そして最悪な事にその警官が切符を書き終わった最後に言った言葉が「お前はトヨタに乗っておけ」でした。最悪な人種差別警官に目を付けられてしまったと言う事ですね。

カリフォルニア州では、タイヤのスキール音を上げるだけで危険運転のチケットを切られてしまいますが、そのような音を上げたかどうかは証明することは難しいでしょう。また、音を上げていないことを証明するのも困難です。通常では交通裁判では警官が信用されるケースが多いので、警官があなたの事を気に入らない場合は嫌がらせのように切符を連発で切られますw

私の場合は、とことん戦うために、そのチューナーであるDINAN本社までわざわざ2時間かけて訪れ、実車の排気音量やエミッションの証明書を取りに行き、そして後日裁判で争うという流れになりました。

そして肝心の裁判ですが、私は最後の武器を出しました。警官とのやりとりの録音です。そのおかげで全てのチケットは無効となりました。明らかに人種差別な発言が残っていたからです。

ただし、現在でも警官とのやりとりを録音することについての合法性はカリフォルニア州ではグレーのままのようです。盗聴法で有罪になる州もありますし、現在のカリフォルニア州法についても現在の法令は不明ですのでマネをされる場合はご自分のリスクを持って行って下さい。

と言う風に、道路交通法のものに関わらず米国の裁判では様々な駆け引きが行われていくのですが、このAbadieさんの裁判でも何か駆け引きがあったであろうことが読み取れます。

スピード違反については時速65マイル(105km/h)制限で時速15マイル(約24km/h)オーバーという違反ということで、こちらについては勝ち目がないでしょう。

しかし、もう一つのチケットについてはGoogle Glassの新規性がかなり有利であったと言えます。裁判の判決の通り、運転中にAbadieさんがGoogle Glassの画面を注視して運転していたことは証明のしようがないからです。また、検察側がこの未知のデバイスについてとことん掘り下げる手間はかけないでしょう。

もしこれが明らかにスマートフォンによる通話であれば、警官によって耳に電話を当てて話すその姿が目視されているわけですが、Google Glassであればその瞬間に正面からプリズムをのぞき込みディスプレイの点灯を確認し、更にドライバーの眼球がそちらに向いていることを確認せねばなりません。

また、この裁判にはGoogle Glassの特徴が優位に働いたとも思えます。それは、Google Glassは利用者が解除しない限りは通常スリープモードになっているからです。そのスリープモードを解除するには、一旦顔を30度以上、上方に向けねばなりません。

Abadieさんがもし正直な方ではなく、Google Glassを注視して運転をしていたと仮定(あくまでも仮定ですよ!)しても、偽証罪云々は別として、今回のGlass関連のチケットは以上のような理由から免れたかと思います。

この件に関して、日本で少し的外れな意見が飛び交う理由としては、Google Glassがどういった端末であるかという情報がまだまだ足りていないということが挙げられます。

Google Glassは、常に情報を表示して注視したり、常に実像に映像を重ねて表示して使うツールではありません。

詳しくは「人から借りて使っただけでは分からないGoogle Glassの10の魅力とは?」をお読みいただければと思いますが、Google Glassは装着者が好きなタイミングで好きな情報を取得して読むためのウェアラブル端末です。

あえて言えば、単に眼鏡の形をしており、音声や頭の動きでコマンド入力ができるだけで、右目の上に画面が消えた超小型スマートフォンをくくりつけているようなものです。

ですので、もしGoogle Glassを使用したままの運転が危険であるというのであれば、同様の利用方法を伴うスマートフォンの方が遥かに危険であると言えます。なぜなら、スマートフォンであれば車両の進行方向から視線が外れる距離が遥かに大きくなり、さらには手を使う必要が出てくるからです。

これが、他の日本語の記事と私とで意見が相違する点ですね。

この段階ではカリフォルニア州でも、Google Glassのディスプレイがアクティブ状態でそれを見つめながら運転していることが警官に目視された場合はチケットを切られることになるでしょうが、それは先述の通り現実的ではありません。

もし、Google Glassでの事故が増えるようなことがあれば、今後は眼鏡型デバイスの場合はアクティブであることが外部から分かる仕組みを強制される日が来るかも知れません。

さて、話を我が国に戻しますが、道路交通法第71条5の5にて画像表示用装置に表示された画像の注視が禁止されておりますが、警官が同様の場面に出くわした場合はどうするのでしょうか?

私は、日本ではまだ切符を切られることはないのではないかと思っております。なぜなら、現場の警官の采配では、その後裁判で争った際に有罪にできる確率が低いと判断されるであろうから、です。私の素人考えであり、これには反論もあるでしょうが、交通検問や高速機動隊の『別件』切符に私は日本ではあまり出会ったことがありませんので、これは一ドライバーからの予想ということでお願いしますw

さて皆様、いずれにせよ運転中にGoogle Glassのスクリーンを注視することは危険ですので絶対にやめましょう!Google Glassは運転に危険である、世の中はそんな話ばかりではありません。実際には「居眠り運転防止Glassware」というものまで提供されておりますから!

今後も一人のGoogle Glass Explorerとして、様々な情報発信をして参ります!引き続き、Google Glassに関する質問はtwitterFacebookページGoogle+でも受け付けております!

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