Google+、Facebook、twitterをそのコンセプトから比較する
- Google+、Facebook、twitterをその生い立ちから比較する
- Google+、Facebook、twitterをそのコンセプトから比較する
- Google+、Facebook、twitterを情報提供スタイルから比較する
- Google+、Facebook、twitterをユーザーの人間関係から比較する
- Google+、Facebook、twitterを情報ソースとリアクションのユーザーベースで比較する
3つのサービスは時々SNSという区切りで横一列に比較されがちですが、それぞれのコンセプトは全く違い、それらを比較すると各サービスのビジョンが見えてきます。
元々、サービス運営者にはビジョンやコンセプト、ポリシーというものが存在しているでしょうが、サービスの度重なる改修や翻訳、さらには成長に伴うビジネス的なしがらみなどによって、それらが見えにくくなってしまうことも多々あります。
ここでは、どうにかそれらコンセプトを掘り起こして比較してみたいと思います。
被登録者向けキャッチコピーの比較
それぞれのサービスには、当然のことながらキャッチコピーというものが存在しています。
各サービスとも、通常ログイン状態ではいきなりサービス利用のメインページが表示されていることが多いですから、それらキャッチコピーは、各サービスが一番アピールするべき相手である「被登録者」に向けてのものを取り上げてみます。
またここでは本来のセールスピッチを見逃さないために、日本語版のフレーズとオリジナルである英語版のフレーズの両方とを確認します。
Facebookのキャッチコピー
まず、Facebookの被登録者向けキャッチコピーを見てみましょう。
英語では「Facebook helps you connect and share with the people in your life.」となっており、翻訳すると「Facebookはあなたがあなたの人生に関わる人々とつながり、そして物事を共有するお手伝いをします。」といった感じでしょうか?
日本語版を見てみますと:
「Facebookを使うと、友達や同僚、同級生、仲間たちとつながりを深められます。ケータイ、スマートフォンからもアクセスできます。」と「つながること」よりも「つながっている相手とよりつながりを深めること」を詳細に書いていたり、モバイル利用のプッシュをしていたりと、本来のピッチから大きくずれたものになってしまっています。
ここでは、一応英語の本来のピッチに従って、Facebookのコンセプトを「人生に関わる人とつながり、物事を共有するためのサービス」としておきましょう。
twitterのキャッチコピー
次に、twitterの被登録者向けキャッチコピーを見てみましょう。
英語では「Follow your intrests – Instant updates from your friends, industry experts, favorite celebrities, and what’s happening around the world」となっており、翻訳すると「あなたが興味あるものをフォローしよう – 友達、業界のエキスパート、お気に入りセレブの最新情報から、世界中での出来事まで」といった感じでしょうか。
日本語版を見てみますと:
「あなたの『好き』をフォローしよう – 友達や、好きな芸能人、様々な分野の専門家からの最新情報や、世界の出来事を瞬時にお届けします。」となっています。
おそらく本来は英語のように、サブタイトルは「intrests(興味)」の内容の説明ですから、主語は「あなた」であるべきはずですが、日本語では「twitterがお届けする」となっています。
ただ、この最新のピッチですと、どうしても情報の発信者側ではなく受け手側をメインとした売りになってしまっています。そこで、過去にさかのぼってtwitterのピッチを見てみましょう。たとえば、2006年11月のtwitter.comはこうなっています。
「A golobal community of friends and strangers answering one simple question: What are you doing?」
これを翻訳すると「シンプルなたった一つの質問『あなたは今なにしてる?』に答える、友達と見知らぬ人が集まるグローバルなコミュニティ」と言った感じでしょうか。
まだ自分が情報を発信する側としてのコンセプトがはっきりしませんが、一応ここではtwitterのコンセプトは「あなたの友達やあなたが興味を持っている人が、今何をしているのかをフォローするサービス」としておきましょう。
Google+のキャッチコピー
最後にGoogle+の被登録者向けキャッチコピーを見てみましょう。
英語では「Real-life sharing rethought for the web.」となっており、翻訳すると「ウェブのために見直された、実生活での共有」といった感じでしょうか。
日本語版を見てみますと:
「ウェブ上の情報共有をもっと簡単に。」と、これも本来の英語版のピッチとはずれてしまっています。
更にこのキャッチコピーだけでは抽象的すぎますので、Google+の「ようこそ(Welcome)」ページを見てみましょう。
英語では「The Google+ project makes sharing on the web feel like sharing in real life.」となっており、翻訳すると「Google+プロジェクトは、あたかも実生活で共有しているかのように感じられるような、ウェブ上での共有を実現させます。」といった感じでしょうか。
これも日本語版を見てみますと:
「Google+プロジェクトは、現実の世界と同じような情報の共有をウェブ上で実現します。」となっており、ここでも微妙なずれが生じています。
英語では、あくまでも「まるで実生活で共有しているかのように感じるウェブ上の共有」と言っているだけで、「実生活と同じような情報の共有」とは言っていません。
すなわち、日本語では現実をリアルに再現する、となっているのですが、英語では現実のように感じるウェブ上での共有を実現する、となっているのです。
先ほどのものとも併せて、ここではGoogle+のコンセプトを「あたかも実生活で共有しているかのように感じられる、ウェブ上での共有を実現するサービス」としておきましょう。
さて、3つのセールスピッチからコンセプトを見いだしてみようと試みたのですが、いまいち抽象的ではっきりしません。そこで、実際に皆さんが情報を発信する際に目する、それぞれのサービスが投稿を問いかけるフレーズを見てみましょう。
投稿コンセプトの比較
もう、ここではあえてそれぞれの投稿ボックスを英語の言語設定だけで見ていただきます。既におわかりの通り、翻訳済みのフレーズでは本来のコンセプトを見失ってしまうかもしれないからです。
Facebookの投稿コンセプト
Facebookの投稿ボックスを見てみますと、「what’s on your mind?」となっています。
ところが、これを日本語設定で見てみますと、「いまなにしてる?」と全く違う意味になってしまっています。
これを先ほど導き出したコンセプトと合わせると、Facebookは本来「あなたの頭に浮かんでいることを投稿して、あなたの人生に関わる人とつながり、共有するためのサービス」だということです。
twitterの投稿コンセプト
そして、twitterはかつて「What are you doing?」すなわち「今何をしている」かを投稿するサービスでした。
それが今では「What’s happening?」すなわち「あなたの周りで今何が起こっているのか」を投稿するサービスに進化してきました。
ところが、残念な事に日本語設定にして見てみますと「いまどうしてる?」と全く違う意味になってしまっています。
あなたの友達やあなたが興味を持っている人が、今何をしているのかをフォローするサービス
先ほど導き出したコンセプトと合わせて、主語をあなたに変えてみますと、twitterは本来「あなたが今何をしているのかを、あなたに興味を持ってフォローしている人に対してつぶやくサービス」から発展して、「あなたの周りで今何が起こっているのかを、あなたに興味を持ってフォローしている人に対してつぶやくサービス」になってきたということです。
Google+の投稿コンセプト
最後にGoogle+を見てみましょう。
Google+は「Share what’s new…」すなわち、「あなたの最新の出来事を共有するサービス」だということです。
Google+だけが唯一「?」で終わる疑問形でないというのも面白いポイントです。
「共有(Share)」はGoogle+の開発者からもよく聞かれるフレーズであり、Google+がそれをキーとしてサービスの開発を徹底していることがうかがえます。
しかも、Google+を日本語設定で見てみますと、先ほどの「Share what’s new…」が「最新の出来事を共有しましょう…」となっており、3つの中でここでも唯一サービスのビジョンに沿った翻訳がされているのです。
Facebookとtwitterがもともとアメリカを舞台としてスタートしたサービスから世界展開されて日本語化されたのに対し、Google+は始めから多国語に対応し、世界展開を前提としてローンチされたサービスです。
他の部分ではGoogle+でもフレーズの翻訳に疑問符が浮かぶ部分が多いのですが、この投稿コンセプトに限って言えばGoogle+ではビジョンからそれない優秀な翻訳がされていると言えます。
ただし、私が理解できる言語が日本語と英語だけですので、他の言語は確認出来ておりません。
ここで先ほど導きだしたコンセプトと合わせてみますと、Google+のコンセプトは本来「あなたの最新の出来事を、あたかも現実世界で共有しているかのように感じながら、ウェブ上で共有できるサービス」だということです。
「Google+プロジェクトは、現実の世界と同じような情報の共有をウェブ上で実現します。」
3つのコンセプトの比較
さて、ここまでで導き出してきた3つのコンセプトをもう一度並べてみましょう。
- Facebookは「あなたの頭に浮かんでいることを投稿して、あなたの人生に関わる人とつながり、共有するためのサービス」
- Twitterは「あなたの周りで今何が起こっているのかを、あなたに興味を持ってフォローしている人に対してつぶやくサービス」
- Google+は「あなたの最新の出来事を、あたかも実生活で共有しているかのように感じながら、ウェブ上で共有できるサービス」
まず、共通する点は「最新」や「今」といったリアルタイム性です。Facebookはtwitterの流行と共にリルタイム制を向上させてきており、それがサービスコンセプトにも反映されています。
しかし、Facebookでは既につながっている人間を対象とした思考の共有をコンセプトとしています。まさに生い立ちの章でも書きましたとおり、現実社会での人間関係をオンライン化するというものです。
それに対して、twitterはとにかく一方的に興味を持っている人間に対して、何をしているか、何が起こっているかをつぶやくサービスです。どちらかと言えばブログのような配信型メディアに近いでしょう。
そして最後発のGoogle+は、実生活での共有という点にポイントを絞り、その共有という行為を、現実的に感じられつつもインターネット社会に適した新しい形で実現するサービスです。
さて、それぞれのコンセプトの違いを簡単に把握したところで、次は各サービス内容の特徴に焦点を当てたいと思います。
「第3章: Google+、Facebook、twitterを情報提供スタイルから比較する」に続く
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また、他のGoogle+関連記事はこちらからお読みいただけます。
すごく分かりやすいw
ありがとうございます。
原文からコンセプトをとらえ直すというのは新鮮でした。
…そして、邦訳ぇ…
ありがとうございます。
簡略にまとめられているのですが、英語から日本語への翻訳がいまいち、しっくりきません。例えば、Real Lifeは、現実世界ではなく、「あなたの人生で今目の前に起きていること」という意味です。さらに、What’s On Your Mindは、Mind=「今どんな思いが浮かんでいますか?」 が正解です。考えというより、感情や思いの意味です。そして、Sharing, Shareは、今では共有という堅い日本語ではなく、シェアする、シェアリングという仮名の方がしっくりきます。ご参考までに、以上をお知らせしておきます。
ありがとうございます!もう一回推敲してみますね。確かにReal Lifeは実生活、の方がよいですね!
思うに、コンセプトは言語や文化に根ざして適したキャッチコピーとして伝えるもの。
こんな風に比較することに、意味があるとは思えませんが…。
Google+のほうにもコメントしましたが、Google+の「Real Life」がさすものについて、リリース当初のExplore Circlesの動画を見れば、決して「いまいち抽象的ではっきりしません」ということはなく、Googleが目指した世界観、コンセプトが一目瞭然かと思います。「実際の世界では何でもかんでもみんなにシェアするわけではないのに、Twitterではすべてを見られてしまうし、Facebookでは友だちになった瞬間に(スマートリスト以前はリストという機能をほとんど誰も知らずにきたので)やはりすべてが相手に流れてしまう」ということに対するGoogle+の差別化アプローチが、「情報をシェアする相手を限定する」サークルという概念であり、それを抜きにGoogle+のコンセプトは語れないのではないでしょうか。
これに続く続編も、ここの決定的なコンセプトの差異を前提にしていないので、認識にズレが生じているように思います。Google+はTwitterも飲み込むような懐の深さを持っていますが、Twitterライクな情報収集ツールとしての発想や、インフルエンサーの発想をベースにGoogle+を捉えると、スタート地点からズレてしまいます。実態としてはさておき、コンセプトはあらためて確認していただくとよいかと思います。