Google+、Facebook、twitterを情報提供スタイルから比較する

情報提供スタイルの比較

それぞれの生い立ちとコンセプトの違いは、そこで見られる情報提供のスタイルにも大きな違いを生みました。

なお、ここでは基本的な概念を比較するためにベースとなる情報提供スタイルの違いだけを比較しており、後にそれぞれの欠点を埋めたり、ユーザーの要望をかなえたりするために追加されたような機能についてはあえて触れずに比較しています。

Facebookは壁 – 「ウォール」

基本は「ウォール」という概念で、お互いに知っている友達同志で、まるで駅や学内の掲示板にぱちっとメモを貼り付けるような感じです。まさに「情報の壁(ウォール)」です。

コメント機能は、更にそれらメモに友達が意見のメモを貼り付けていくような感じですね。

本来は、掲示板には貼り付けた順にメモが並ぶわけですが、リアルタイム性が重視されている現在のFacebookでは電子のウォール(壁)だけあって、友達同士の間で「これはいいね!」と思われたり、情報が新鮮であったりするものが優先的に見やすい場所に残されます。

それ以外の「重要でないもの」は、自分で見に行かない限り、次々に壁からはみ出して捨てられてしまうわけです。

twitterは時間の流れ – 「タイムライン」

twitterでは、何よりも時系列とリアルタイム性を重視しました。まさに「時間の流れ(タイムライン)」です。

もともとSMSによる携帯電話からの利用を前提に作られたtwitterは、Facebookのようなばらばらのサイズに分散した情報パケットではなく、SMSの文字数上限からユーザー名を差し引いた、140文字という文字数制限が前提の小さな情報パケットが、時間軸を最優先にどんどんと送られてくる「流れ」です。

受け取る情報の発信者は勝手に自分で決められるものの、自分が見ていない範囲の情報はあえて追いかけない限りはどんどんと枠外に流れていってしまいます。

Google+はコントロールできる情報の流れ – 「ストリーム」

Google+は、twitterと同様に時系列を重視するものの、自らが情報の発信者にタグ(ラベル)付けできる仕組みを提供し、受け取る情報を自らがコントロールできる仕組みをできるだけシンプルに「サークル」という名の機能で実装しました。まさにコントロール可能な「情報の流れ(ストリーム)」です。

Google+では、twitterでは自分が咀嚼できる範囲に収まらなかった、本来では重要であったかもしれない情報を、タグ付けという方法でフィルタリングする仕組みを与えることによって、単に時間軸をベースにするタイムラインよりも有益な情報を抽出して取得できる仕組みを作ったのです。

また、twitterでいう「流れ」の要素である「ストリーム」と同時に、それぞれの投稿にスレッド方式のコメント機能を提供することによって、Facebookでいう「壁」の要素も取り込んだいわゆるおいしいとこ取りの「ハイブリッド」型のスタイルになっています。

Google+の肝はサークルが実現する「直感的なタグ付け」

Facebookのウォールの基本概念は、「あなたが友達と認めている人たちがこの情報を良いと言っているので、あなたにとっても重要に違いない」という、コラボレイティブ・フィルタリングです。Facebookでは広告配信にもその人間関係(ソーシャルグラフ)を活用しています。

これは、基本的にはAmazon等でも見られる「これを買っている人は、他にもこの商品も買っている」と同じ原理ですね。

この仕組みは、もっと以前からある「分母が全員」のランキングによる総合的な「情報の重み付け」に比べれば、まだ比較的「あなたが良いと評価する情報」に出会える確率は高くなるでしょうが、あくまでもそれら情報はあなたに向けて押しつけられる情報であり、本当にあなた自身が欲しいと自らの手で抽出した情報ではありません。

twitterでは、自分が興味を持つ人間を情報収集の対象として「フォロー」するという、完全に自分本位な行為で情報収集源を選択できるようになり、人々はそのリアルタイム性と気楽さ、利便性を好みました。

ところが、情報収集対象であるフォロー先が増えてくると、今度は自分が咀嚼できる範囲にどんどんとノイズ(不必要な情報)が増え、欲しい情報がその範囲からはみ出してしまいます。

さらには、Facebookはモバイル版に力を入れシンプルなtwitterもどきモードを作り(既に廃止)twitterのリアルタイム性に近づこうとし、twitterは「Who to follow」という仕組みでフォローをお勧めするというFacebookよりな機能を実装し、互いに良いところを取り入れて優位性を確保しようとするのですが、それぞれ基本のコンセプトを変えるわけにはいかないため大きな方向転換につながりません。それどころかユーザー体験を損ねる結果も招いてしまっています。

そのような状況に彗星のごとく現れたGoogle+は、Gmailのラベル機能などで培った「タグ(Gmailではラベル機能)」の概念をフル活用し、自分が選んだ情報収集先であるユーザーを、様々な自分本位な「くくり方」で○をつけて、クリック一つで切り替えることができる「サークル」という概念を実装し、自分のコントロール次第ではできるだけ効率良く情報を得られる仕組みを投入してきました。

当然のことながら、Facebookには一般ユーザーが見つけることも困難な同様の「リスト機能」があり、Twitterにはフォローを増やしたいという意思とは矛盾してでも作った、情報収集先となるユーザーをまとめられる同様の「リスト機能」があります。

しかし、それら機能はあくまでもFacebookの友達関係、そしてtwitterのフォロー関係というそれぞれの原則をくずさぬよう実装された便利機能であり、Google+のような直感的なタグ付けを行うことができません。

このGoogle+の「サークル」という機能は、エンドユーザーにとってわかりやすく命名されたことから、そのすばらしさがフレンドリーなその名称に埋もれがちですが、サークル自体の枠からその中のユーザーを決めることも、ユーザー自体からどのサークルの枠に入れるかを決めることも、自然に直感的におこなえるという「タギング」の仕組みなのです。

Google+は 「壁」と「流れ」のハイブリッド型

また、twitterでいう「流れ」の要素である「ストリーム」と同時に、それぞれの投稿にスレッド方式のコメント機能を提供することによってFacebookでいう「壁」の要素も取り込んだ、いわゆるおいしいとこ取りの「ハイブリッド」型のスタイルになっています。

すなわち、Google+はtwitterとFacebookとのおいしいどこどりをすることによって、まるで衛星写真からストリートビューまでに自由にズームできるGoogle Mapのように、情報の流れから、それぞれの流れの中にあるディスカッションまでを自在にズームイン・アウトすることを実現しているというわけです。

Google+は インテリジェント

Facebookはサービス側の都合で勝手に情報の流量を一定に決められてしまい、twitterでは基本機能だけではどんどんと流れが速くなって情報が自分の器からはあふれてしまうものの、Google+ではそのインテリジェントな仕組みのおかげで、情報の濃さから流れまでをも自由自在にコントロールできるようにしました。

言わば、Google+は「情報ストリーム」の「源流」をコントロールして、さらにその「流速」をコントロールできるようにしたのです。

さらには、Facebookと同様の「壁」の要素も取り込むことによって、「流速」だけではなく立ち止まって手に取る情報の「濃度」までをコントロールできるようにしました。

それらを基本機能で実現したという点が、Google+が現在一部のユーザーに何らかの快適さを感じさせる要因の一つだと言えるでしょう。

Google+は 難しい?

しかし、それら「サークル」や「コメント」といった機能は直感的に利用できるものの、それと同時に使いこなすには一定のリテラシーと時間が必要となるでしょうし、下手をすればどんどんタグ付けが重複して複雑になり余計に混乱を引き起こしてしまいます。

ですから、ユーザーによっては先ほどの「サークルは直感的に利用できる」という前提条件として、「理解してちゃんとタグ付けすれば」や「サークルで管理する対象が少ない内は」と付け加えた方が良いかもしれません。

要するに、現在「快適だ」と感じているのは、いわゆるテクノロジーサビーなアーリーアダプター層と、まだユーザーが少ないことで気楽さを感じている一般的なユーザー層であり、今はそれらのユーザーが「快適だ」と感じていたとしても、後々には「複雑で面倒だ」と感じ始めるかもしれないということです。

そういう意味では、良くも悪くもこの「おいしいどこどり」で「インテリジェント」なGoogle+の特徴が、後に利用が一般層に浸透していくフェーズにおいてはあだとなってしまう可能性もあります。

良くも悪くも使うユーザー次第のツール、その点ではGoogle+はGoogleが提供する他のサービスのキャラクターと共通しているかもしれませんね。

 

さて、この重要なキーとなる「サークル」の概念は、Google+でのユーザー間の人間関係を考察する際にも、その名称が大きな誤解を引き起こすことがあります。そこで、3つのサービスにおける人間関係の違いを詳しく見ていけば、Google+への理解が更に深められます。

第4章: Google+、Facebook、twitterをユーザーの人間関係から比較する」に続く

 

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